この研究は、スイスにおける環境中の超低周波(ELF)磁界ばく露の包括的な概観を提示し、ばく露評価とリスクコミュニケーションのための新しい環境ばく露マトリックスを提示することを目的としている。鉄道(16.7 Hz)、家庭用(50 Hz)、路面電車のリップル電流(300 Hz)といった主要なELF波源からの磁束密度レベル(µT)を、バックパックに入れた携帯型ばく露メータを用いて測定した。2022-2024年にスイスの人口集団を代表するさまざまな環境:300の屋外エリア(例:市中心部、住宅地)、245の公共スペース(例:鉄道駅、学校)、348の交通移動(例:電車、車)、59の住宅(例:寝室、リビングルーム)でELF磁界レベルを収集した。その結果、全ての環境において、最も高いELF磁界ばく露レベルは鉄道駅(中央値:0.48 µT)、電車内(中央値:0.40 µT)、ならびに220 kVおよび380 kVの送電線の近傍(< 200 m)の居室(中央値:0.37 µT)で測定された。2年間隔で測定したELF磁界の中央値レベルは、同じ150の屋外エリア(r = 0.88)および86の公共スペース(r = 0.87)で高いピアソン相関係数を示し、有意な変化はなかった。全ての測定値は、国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)の1998年のガイドラインに基づくスイスの環境規制値を大幅に下回った(中央値:0.2%)。最後に、環境ばく露マトリクスを導出し、居住、職場、交通環境での典型的な滞在時間を組み合わせた27種類の日々の時間加重平均ELF磁界ばく露シナリオをモデル化した。高圧送電線の近くに住んでいないか、高いばく露環境で働いていない人々は、通常のばく露レベルは平均して0.3 µT未満であったが、そうでない人々はこのレベルを超える可能性がある。この新しい環境ばく露マトリクスは、公共のコミュニケーションおよび将来の疫学研究のためのばく露モデリングに役立つツールである、と著者らは結論付けている。
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