自動車のナビゲーションに広く利用されている全地球測位システム(GPS)の1.575 GHz高周波(RF)電磁界ばく露による車内の乗員の健康リスクが懸念されていることから、この研究は、自動車のルーフ中央から後方、リアガラス付近に取り付けられるGPSアンテナと人体との結合モデルを構築した。有限要素シミュレーションソフトウェアCOMSOL Multiphysicsのマルチフィジックス電磁界結合計算により、周波数領域と過渡解析の両方で、GPSアンテナの放射に30分間ばく露した後の自動車内の3つの位置での電界強度分布、比吸収率(SAR)および人体の温度分布を取得した。その結果、ピーク人体誘導電界は18.4 V/m、ピークSARは0.193 W/kgであった。30分間平均の最大人体誘導電界は1.6906 V/m、全身SARは0.0036 W/kg、人体深部温度上昇は0.06℃で、それぞれ国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)のばく露制限値の3.1%、4.5%、6%であった。更に、3つの異なる車両シェル材料が人体への電磁界ばく露レベルに及ぼす影響をシミュレートした結果、誘導電界強度、SAR、および人体の各部の温度上昇が、最新のICNIRPのばく露制限値を超えなかいことが示された。これは、一般的な自動車環境におけるGPSアンテナからの電磁界ばく露が人体への脅威をもたらさないことを示唆している、と著者らは結論付けている。
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