この研究は、様々な高周波(RF)電磁放射のばく露サブカテゴリを適用して、携帯電話使用と脳腫瘍の発生との関連に関するメタ分析を実施した。2020年12月16日までにMEDLINE(PubMed)、EMBASE、およびCochrane Libraryを検索した。その結果、メタ分析には19件の症例対照研究と5件のコホート研究を包含した。頭部の片側での使用者は非定常的使用者と比較して、プールされたオッズ比(OR)が1.40(95%信頼区間(CI)= 1.21-1.62)であった。使用年数が10年以上の使用者では、プールされたORが1.27(95% CI = 1.08-1.48)であった。脳腫瘍の種類ごとに階層化した場合、片側使用者において統計的に有意なORの上昇が認められたのは、髄膜腫(OR = 1.20(95% CI = 1.04-1.39))、神経膠腫(OR = 1.45(95% CI = 1.16-1.82))、および悪性脳腫瘍(OR = 1.93(95% CI = 1.55-2.39))であった。使用年数が10年以上の使用者では、神経膠腫のみ(OR = 1.32(95% CI = 1.01-1.71))で統計的に有意なORの上昇が認められた。累積使用時間が896時間以上のORを報告した11件の研究を統合すると、プールされたORは1.59(95% CI = 1.25-2.02)であった。脳腫瘍の種類ごとに階層化した場合、神経膠腫、髄膜腫、聴神経腫のプールされたORは、それぞれ1.66(95% CI = 1.13-2.44)、1.29(95% CI = 1.08-1.54)、1.84(95% CI = 0.78-4.37)であった。累積使用時間を考慮した各個別研究では、神経膠腫、髄膜腫、聴神経腫における最高ORは、それぞれ2.89(1.41-5.93)(両側使用、>896時間)、2.57(1.02-6.44)(両側使用、>896時間)、および3.53(1.59-7.82)(片側使用、>1640時間)であった。5件のコホート研究において、中枢神経系腫瘍全体、神経膠腫、髄膜腫、聴神経腫のプールされたリスク比(RR)は、それぞれ統計的には同等であった。しかし、聴神経腫のポイント推定値は、使用経験がある場合(1.26)および使用年数が10年以上の場合(1.61)が使用経験のない場合と比較してやや増加したプールされたRRを示した。このメタ分析では、用いたばく露サブカテゴリが具体的になるにつれて、プールされたORが統計的有意性を伴って高い値を示した。コホート研究のメタ分析では統計的に結論付けられないプールされた効果推定値が得られたものの、(i)含まれる研究数が増加し、(ii)適用されたばく露サブカテゴリが具体的になるにつれて、将来の研究でプールされたRRが異なる側面を示す可能性がある。また、将来の研究では、携帯電話使用パターンの変化やワイヤレスパーソナルエリアネットワーク技術を利用したイヤホンやヘッドホンの使用増加を十分に考慮すべきである、と著者らは結論付けている。
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