近年、高周波電磁放射(RF-EMR)が精子の質に及ぼす影響が注目されているが、これまでの研究結果は矛盾している。RF-EMRの影響は周波数によって異なり、5G周波数が精子のDNA完全性および活力に与える影響についての文献は現在存在しない。この研究は、5G RF-EMRが繁殖用の雄のブタの精子膜の完全性、ミトコンドリアの電位、DNA完全性に及ぼす影響を調べた。ピエトレン種の雄のブタ8頭およびジャーマンランドレース種のの雄のブタ4頭(1.5~3.5歳)の精液サンプルを用いた。各個体の新鮮な希釈精液を対照群(n=12)と実験群(n=12)に分けた。実験群のサンプルは、GTEMセルを用いて単一周波数(700 MHz、2500 MHz、3500 MHz)の連続RF-EMRに電界強度10 V/mで2時間ばく露した。精子DNA断片化をHalomaxキットを用いて評価し、精子膜の完全性およびミトコンドリア電位をPI⁄SYBR-14 LIVE⁄DEAD生存率キットおよびJC-1を用いて評価した。その結果、全ての周波数において、ばく露した精液サンプルでは対照群と比較して有意に高いDNA断片化率が観察された。最も高いDNA損傷は、5G RF-EMRの2500 MHz(p<0.01)および3500 MHz(p<0.05)にばく露した精液サンプルで記録された。3500 MHzにばく露した精液サンプルでは、損傷した細胞膜と良好なミトコンドリア電位を持つ精子の割合が有意に高かった。5G RF-EMRによるDNA損傷への有害な影響は周波数依存的であり、3500 MHzがDNA完全性および精子活力指標に最も有害な影響を与えることが示された、と著者らは報告している。
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