[電化鉄道のパンタグラフネットワークにおけるアークへの電磁界ばく露の安全性評価] tech./dosim.

Safety Assessment of Electromagnetic Exposure to Arcing in Electrified Railway Bow Networks

掲載誌: IEEE Access 2024; 12: 143352-143377

この研究は、集電網アーク発生時における乗客の電磁界安全性を評価するため、数値シミュレーションツールを用いて列車の牽引電力供給システムをモデル化し、アーク発生時の架線ネットワークにおける電圧変動をシミュレーションした。シミュレーションの結果、最大電圧変動が30 kVであることが明らかとなった。その後、CR400AF型列車の車両内における乗客の三次元電磁環境モデルを専用シミュレーションソフトウェアを使用して構築した。乗客の脳領域における磁界強度電界強度電流密度分布を特に分析対象とした。その結果、乗客の脳における最大磁束密度誘導電界強度、および誘導電流密度は、それぞれ7.55 μT、0.90 mV/m、831.2 μA/m2で、国際非電離放射線防護委員会ICNIRP)のばく露制限値を十分に下回る値であることが示された。更に、集電網アークによる架線ネットワーク変動で生成される中間周波磁界は、列車のアルミニウム合金製車体によって効果的に遮蔽され、電磁界ばく露リスクがさらに軽減されることが示された。これらの結果は、集電網アーク時の架線ネットワーク変動によってCR400AF型車両内で発生する電磁界ばく露が乗客に重大な健康リスクを及ぼさないことを示しており、高速鉄道システムにおける電磁安全性評価に貴重な知見を提供するものである、と著者らは結論付けている。

ばく露