この研究は、ヒト皮膚線維芽細胞(HDF)における連続またはパルス1.6 GHz 高周波(RF)電磁界の細胞毒性および遺伝毒性を調べた。HDFを比吸収率(SAR)0.4 W/kgで連続およびパルス1.6 GHz RFに2時間ばく露し、細胞周期、超微細構造、タンパク質発現、紡錘体、小核、染色体分離、γ-H2AX/53BP1フォーカス形成への影響を分析した。その結果、1.6 GHz RFばく露は、HDFのタンパク質発現および形態を変化させた。特に、異なる熱ショックタンパク質(HSP:HSP-90、HSP-60、HSP-25)およびリン酸化AKTの発現が影響を受けた。更に、連続およびパルスRFのいずれもHDFの細胞骨格の組織を変化させ、リソソームの数を増加させた一方、オートファゴソームの形成はパルスRFばく露後のみ観察された。また、ばく露後に紡錘体の異常が見られた。しかし、細胞周期、染色体分離、小核、γ-H2AX/53BP1フォーカスには有意な影響は観察されなかった。これらの結果は、1.6 GHz RFにばく露したHDFにおいて遺伝毒性の損傷が存在しないことを示しており、紡錘体の変化は観察されたものの、それらは無倍数性効果をもたらさなかった。一方で、ばく露したHDFにおける幾つかのタンパク質発現および細胞超微細構造の変化は、RFが形態学的および分子的レベルで細胞の変化を誘発する可能性を示唆している、と著者らは結論付けている。
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