従来の証拠は、超低周波(ELF)磁界が発がん物質の影響を修正する可能性があることを示唆している。しかし、共ばく露因子としての電離放射線を用いたこれまでの研究はまばらであり、確たる結論が得られていない。この研究は、50 Hz磁界への単独ばく露または電離放射線との共ばく露が、がんに関連する細胞生物学的変数および電離放射線の生物学的影響を変更するかどうかを調べた。ヒトSH-SY5Y神経芽細胞腫細胞に対して、シャムばく露、あるいは100または500 µTの磁界を24時間、電離放射線照射(0、0.4または2 Gy)の前または後に行った。ばく露後、細胞の生存率、クローニング性、活性酸素種(ROS)、カスパーゼ-3活性、および細胞周期分布を分析した。細胞周期分布はプロピジウムヨウ化物染色後にフローサイトメトリー解析を行い、ROSレベルはDeepRedおよびSytox Blueによる二重染色後にフローサイトメトリー解析を行って細胞生存率とともに分析した。その結果、500 µT磁界にばく露した細胞では、電離放射線の前後にカスパーゼ-3活性の増加が観察された。更に、電離放射線の後の500 µT磁界ばく露はS期の細胞の割合を減少させた。磁界ばく露群では、対応するシャムばく露群と比較して、ROSレベル、クローニング性、または細胞の生存率に変化は認められず、100 µTでばく露した細胞では磁界の影響は認められなかった。500 µTの磁束密度のみがSH-SY5Y細胞に有意に影響を及ぼした。影響は小さいが、磁界が電離放射線の影響をどのように修正するかを理解するのに役立つ可能性がある。カスパーゼ-3活性の増加は、細胞周期のサブG1期に変化が見られなかったため、アポトーシスへの影響を反映していない可能性がある。幾つかの以前の発見とは対照的に、電離放射線の後の50 Hz磁界ばく露は、電離放射線の前の磁界ばく露よりも影響が低くなかった、と著者らは報告している。
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