[電気自動車用ワイヤレス電力伝送システムにおける電磁界ばく露の評価] tech./dosim.

Evaluation of Electromagnetic Exposure in Wireless Power Transfer Systems for Electric Vehicles

掲載誌: J Electromagn Eng Sci 2024; 24 (1): 34-41

ワイヤレス電力伝送(WPT)システムでは、充電モジュールによって生成される電磁界が国際的な安全ガイドラインで定められた制限値を超える可能性がある。これは、高出力WPTシステムの利用者、特に電気自動車(EV)のユーザーにとって安全性の懸念となる。この研究は、この問題に対処するために、EV充電用の固定式WPTシステムを設計し、システムのドシメトリ評価を2つのばく露シナリオで実施した。電磁界解析ツールから得た電磁界データを用いて、インピーダンス法を用いて人体内の誘導量を導出し、その結果を国際非電離放射線防護委員会ICNIRP)のガイドライン値と比較した。固定式WPTシステムは、EV充電のために設計され、効率的な電力伝送と安全性を確保するための特定の仕様に従った。2つのばく露シナリオでドシメトリ評価を実施し、ユーザーの安全性を確保するためのデータを収集した。シナリオ1:ユーザーが充電ステーションの近くに立っている場合。シナリオ2:ユーザーがEV内に座っている場合。電磁界解析ツールを用いて、充電モジュールから発生する電磁界の強度と分布を評価した。インピーダンス法を用いて、人体内の誘導電界電流密度を計算し、各シナリオにおけるばく露量を評価した。ICNIRPのガイドライン値と比較して、各シナリオでのばく露量が安全基準内に収まっているかを確認した。その結果、設計された固定式WPTシステムは、2つのばく露シナリオにおいてICNIRPガイドラインを満たしていることが確認された。この結果は、高出力WPTシステムのユーザーの安全性を確保するための重要なデータを提供し、今後のEV充電システムの設計と安全評価に寄与するものである。更なる研究により、さまざまな使用状況における安全性を更に確保することが望まれる、と著者らは結論付けている。

ばく露