[都市部における小児白血病発生率の傾向と、宇宙天気を含む環境要因との関係] epidem.

Trends in childhood leukemia incidence in urban countries and their relation to environmental factors, including space weather

掲載誌: Front Public Health 2024; 12: 1295643

白血病は子供に最も多く見られるがんであり、その発生率は1910年代から世界中で増加している。このことは、生活様式や環境に関連する共通の原因が存在する可能性を示唆している。小児白血病と環境条件の関係を理解することは、この病気の予防にとって重要である。このレビュー論文の著者らは、自動車排ガスや火災などの潜在的に発がん性のある環境因子とともに、宇宙線や地磁気といった宇宙天気関連のパラメータを検討している。主要な因子を明らかにするため、1990-2018年までの米国、カナダ、オーストラリア、およびロシアにおける0-14歳の小児白血病発生率傾向と年間変動を分析した。車両数(排ガス量の代用)、火災で被害を受けた土地面積(火災関連汚染物質の指標)と比較し、初めて紹介するロシアの新しいデータを含めた。その結果、研究対象の全ての国で小児白血病発生率が上昇しているが、ロシアでは他の国の2倍の増加率を示しており、これは他の国に比べて車両台数の増加が遅れたことに起因する可能性がある。このロシアの傾向は、米国、カナダ、オーストラリアの過去の白血病レベルに関する洞察を提供するかもしれない。これらの結果は、検討した因子の中で自動車排ガスが子どもにとって最も大きな環境リスク因子であることを強調している。また、宇宙線強度の変動によって誘発される発がん作用の可能性や地磁気の防護的役割も考慮することを提唱している。これを裏付けるため、局地的および全球的規模での宇宙天気効果の可能性の例を提供している。更に、49か国からの統計データを含む追加分析では、ペルー、エクアドル、チリにおける小児白血病発生率のピークに寄与する南大西洋での磁気の低下の重要性を強調している。各国における小児白血病リスクの将来的な予測を成功させるためには、発がん性があるかもしれない全ての因子を総合的に評価することが重要である、と著者らは述べている。

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