[超低周波電磁界（ELF-EMF）が透明細胞型腎細胞癌細胞の遺伝子発現およびサイトカイン分泌に誘発する変化] med./bio.

この研究は、超低周波（ELF）電磁界が透明細胞型腎細胞がん（ccRCC）に及ぼす影響を、遺伝子発現およびサイトカイン・ケモカインの分泌の変化を評価することで調べた。3つのccRCC細胞株（786-O、769-P、およびCAKI-1）と健康なHEK293細胞株を対象に、ELFばく曝露（50 Hz、4.5 mT）を30分間／日、5日間実施した。この研究では、ADAM28、NCAM1、およびVEGFC遺伝子の発現と30種類のサイトカインおよびケモカインの分泌を調査した。その結果、特に、転移部位からの細胞株ではなく、原発性腫瘍由来の細胞株でADAM28遺伝子発現が観察され、ELFばく露後にその発現が増加した。769-P細胞ではELFばく露後にVEGFC遺伝子発現の統計的に有意な減少が見られた。また、HEK293、769-P、および786-O細胞（正常な胚腎細胞および原発性腫瘍細胞を表す）ではNCAM1遺伝子発現が上昇したが、転移部位をモデルとするCAKI-1細胞では見られなかった。EMFばく露後、HEK293およびCAKI-1細胞株の細胞培養上清中でトランスフォーミング成長因子β1（TGF-β1）濃度が統計的に有意に減少し、他のサイトカインの分泌には有意な変化は見られなかった。これらの結果と既存の研究を考慮すると、ELF電磁界がccRCCの進行に及ぼす潜在的な抑制効果について結論を出す際には慎重を要する。電磁界の影響をヒトの文脈で評価する際には、実験モデルの標準化が不可欠である、と著者らは結論付けている。