小児脳腫瘍(CBT)は、20歳未満の子供におけるがん死亡の主要な原因であり、その病因はまだ十分に理解されていないものの、多因子性と考えられている。この研究は、CBTの潜在的なリスク因子を統合し、一次予防を情報提供することを目的として実施された。2023年7月27日までにPubMed、Web of Science、Embaseデータベースに掲載された疫学研究を対象に系統的レビューおよびメタ分析を行った。着床前後、妊娠時および/または出生後の個々のリスク要因ごとの影響の推定値を報告したコホート研究または症例対照研究のデータを包含した。無作為効果メタ分析を用いて、大まかな影響の大きさ(ES)および95%信頼区間(CI)を推定した。また、研究間の異質性(I2)を評価した。その結果、合計4040報の研究を同定し、うち181報(症例対照研究85報、コホート研究96報)を包含した。全ての適格な研究のうち、50%(n = 91)が欧州、32%(n = 57)が北米、9%(n = 16)が豪州、8%(n = 15)がアジア、1%(n = 2)が南米で実施されたもので、アフリカで実施されたものはなかった。殺虫剤(ES = 1.44、95% CI = 1.20-1.73)および除草剤(ES = 2.38、95% CI = 1.31-4.33)への子どもの家庭内ばく露を含む、一部の修正可能なリスク因子に関連が認められた。症例対照研究では、妊娠中の母親の殺虫剤ばく露(ES = 1.45、95% CI = 1.09-1.94)、塩漬け肉の摂取(ES = 1.51、95% CI = 1.05-2.17)および1日2杯以上のコーヒー摂取(ES = 1.45、95% CI = 1.07-1.95)、ならびに着床前の母親のベンゼンばく露(ES = 2.22、95% CI = 1.01-4.88)がCBTと関連していた。また、父親の農薬(ES = 1.48、95% CI = 1.23-1.77)およびベンゼン(ES = 1.74、95% CI = 1.10-2.76)への職業ばく露も、症例対照研究および複合分析で関連してした。一方、コホート研究では、補助生殖医療(ART)(ES = 1.32、95% CI = 1.05-1.67)、帝王切開(CS)(ES = 1.12、95% CI = 1.01-1.25)、着床前の父親の塗料への職業ばく露(ES = 1.56、95% CI = 1.02-2.40)、および妊娠中の母親の1日10本超の喫煙(ES = 1.18、95% CI = 1.00-1.40)が、CBTと関連していた。コホート研究では、妊娠中の母親のビタミンおよび葉酸の摂取は逆に関連していた。CBTとの関連が認められなかったものには、ホルモン/不妊治療、授乳、子どもの保育園通園、母親の電熱ウォーターベッドへのばく露、妊娠中の紅茶およびアルコール摂取があった。コホート研究と症例対照研究の間でCBTとほとんどのリスク因子との関連に不一致が認められたことから、この結果の解釈には注意を要する。現時点では、どのCBTも特定の一次予防ガイドラインを定義するのは時期尚早である、と著者らは結論付けている。
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