地磁気活動の安定/不安定と、心血管疾患(CVD)の死亡率、発生率、有病率との相関関係は依然として不明瞭である。地磁気の強さおよび地磁気擾乱(GMD)とCVDとの相関を調べるため、地球規模、長期間および204の国・地域でのCVDイベントが、 2019年の世界疾病負担調査(GBD 2019)に盛り込まれた。対象地域の 1996-2019年のGMF強度、GMD頻度、CVD イベント、気象および医療経済指標のデータを収集した。GMF強度とCVD事象との間の相関を特定するために線形回帰およびパネルデータモデリングを実施し、交絡因子の影響を調整するために多因子パネルデータ分析を実施した。その結果、1996-2019年の平均データについて、線形回帰モデルにより、総GMF(tGMF)強度と総CVDの死亡率との一貫した正の相関が示された(相関係数(coef)= 0.009、95%信頼区間(CI)= 0.006 - 0.011)。一方、水平GMF(hGMF)強度とCVD総死亡率との負の相関が示された(coef = -0.010、95% CI = -0.013 - -0.007)。時間的傾向を考慮した場合、パネルデータ分析では、tGMFとCVD総死亡率との間に正の相関が依然として示された(coef = 0.009、95% CI = 0.008 - 0.009)。同時に、hGMFとCVD総死亡率との負の相関が示された(coef = -0.008、95% CI = -0.009 - -0.007)。 パネルモデルを交絡因子に関して調整した場合、tGMF、hGMF、および CVDs イベントの間に逆の相関は認められなかった。高所得地域では、磁気嵐(GMS)の頻度とCVD全体の死亡率の間に正の相関が認められた(coef = 14.007、95% CI = 2.785 - 25.229)。但し、この正の傾向は 極地から赤道まで緯度が低くなるにつれて徐々に消失した。GMFの水平成分の長期的安定は心臓の健康に有益である可能性がある。GMDと呼ばれる短期的に不安定なGMFは、心臓の健康に危険を及ぼす可能性がある。この結果は、心臓の健康状態を維持する上での定常的なGMFの重要性と、心臓の健康に対するGMDの悪影響を示唆している、と著者らは報告している。
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