欧州委員会(欧州連合(EU)の執行機関)に対する科学諮問機関の一つである「保健・環境・新興リスクについての科学委員会(SCHEER)」は、「理事会勧告1999/519/ECおよび指令2013/35/EUにおける付属書の改定の必要性についての意見書」の最終版を発表した。この意見書は、SCHEERが欧州委員会の要請を受け、高周波電磁界(RF、100kHzから300GHzまで)に関する入手可能な最新の科学的証拠に照らして作成したものである。
SCHEERはこの意見書で、現行の勧告よりも低いばく露レベルでの潜在的に有害な健康影響を同定し得る、中程度または強い証拠はなかった、としている。
SCHEERはこの意見書で次のように述べている。
・SCHEERは、RF電磁界ばく露の潜在的健康影響についてのSCENIHR[訳注:新興および新規に同定される健康リスクについての科学委員会、SCHEERの前身]の意見書(2015年)以降に発表された、科学に基づく各種の情報源を検討した。
・SCHEERは、生物学的影響を生じる可能性のある、酸化バランス、遺伝的およびエピジェネティックな影響、ならびにカルシウムシグナル伝達が関与する、イン・ビトロ研究における相互作用のメカニズムについての証拠の重みに不確かさがあることに留意した。
・SCHEERは、理事会勧告1999/519/ECおよび指令2013/35/EUの付属書で規定された制限値より低いレベルでの、現行の技術からの慢性または急性のRF電磁界ばく露による健康への悪影響について、適度の、または強いレベルの証拠を同定できなかった。
・SCHEERは、数値計算による、および実験的なばく露評価およびドシメトリの分野において、国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)のばく露ガイドライン(1998年)以降に成し遂げられた技術の進展により、ヒトのばく露のより厳密な評価が可能となったことに留意した。
・SCHEERはまた、RF電磁界を用いた新たなワイヤレスアプリケーションでは、より高い周波数、より低い出力電力が、人体近傍で使われる傾向があることにも留意した。但し、ビーム集束または強いパルス放射が短時間にばく露を高める可能性がある状況がある。
・SCHEERは、ICNIRPの最新のばく露ガイドライン(2020年)が、RF電磁界におけるこうした進展に対処し、RF電磁界の新たな技術的アプリケーションから人間をより効果的に防護できる、新たなドシメトリ量とそれに対する制限値を導入したことを認識し、故に、RF電磁界(100kHzから300GHzまで)に関する理事会勧告1999/519/ECおよび指令2013/35/EUにおける付属書の技術的改定の必要性について前向きに助言する。
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