最新の国際的なガイドラインでは、ミリ波ばく露について、ヒト組織における5℃の温度上昇を回避するため、健康への悪影響の運用上のの閾値として200 W/m^2の吸収電力密度(APD)が採用されている。しかしながら、APDはヒト組織モデルを用いたシミュレーションによる推定であることから、生きた組織で同様の値が確認できるかどうかは不明である。このため、この研究は、APDとイン・ビボでの皮膚温度上昇との関連を調べ、上述の推定値を検証した。ラットの背側皮膚を26.5 GHzのサブミリ波に18分間、パッチアンテナを用いて局所ばく露した。ドシメトリで推定したサブミリ波ばく露強度は0-500 W/m^2に設定した。背側皮膚および直腸における温度をばく露中に同時に測定した。その結果、サブミリ波は異なる部位で局所温度上昇を生じた。背側皮膚温度は、500 W/m^2の最大強度で約11.3℃上昇したが、直腸温度は0.6℃に過ぎず、ラットのばく露の影響は極めて局所的であることが示された。APDと皮膚温度上昇との有意な相関が認められた。この関連は線形回帰モデルで示され、APDが200 W/m^2のばく露での皮膚の温度上昇は5℃未満であると推定された。これらの結果は、ラットを用いたこの実験条件下では、ミリ波ばく露ガイドラインについての運用上の閾値が妥当であることを示唆している、と著者らは結論付けている。
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