接触電流は、100 kHz未満の周波数では末梢神経を刺激し、チクチクといった感覚を生じる。100 kHz超の周波数では加熱が支配的となり、温感を生じる。電流の振幅が閾値を超えると不快感や痛みが生じる。国際的なガイドラインや規格では、接触電流の振幅の制限が規定されている。低周波(約50-60 Hz)での接触電流によって生じる感覚の種類と、それに対応する知覚閾値は研究されているが、中間周波帯域、特に100 kHz-10 MHzでの感覚については知識が欠如している。この研究は、健康な成人88人(20-79歳)を対象に、指先を100 kHz、300 kHz、1 MHz、3 MHz、10MHzにばく露し、電流知覚閾値および感覚の種類を調べた。その結果、300 kHz-10 MHzの範囲における電流知覚閾値は、100 kHzにおける電流知覚閾値よりも20-30%高かった(p < 0.001)。更に、統計的分析により、知覚閾値が年齢または指の円周と相関していることが示された。高齢の参加者や指の円周が大きい被験者は、より高い閾値を示した。 300 kHz以上の周波数では、接触電流は主に温感を生じ、100 kHzの電流によるチクチク・ピリピリ感とは異なっていた。この結果は、100-300 kHzの間に、感覚とその知覚閾値の遷移が存在することを示している。この結果は、中間周波における接触電流に関する国際的なガイドラインおよび規格の改定に資するものである、と著者らは結論付けている。
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