この研究は、健康なボランティアを対象に、心拍変動(HRV)の線形および非線形解析を用いて、高周波(HF)電磁界と生体との相互作用、ならびに心拍数の自律制御に対する影響を調べた。疾患の症状のない若い健康な被験者 (n = 30、年齢平均24.2±3.5歳)に対し、2400 MHz(Wi-Fi)および2600 MHz(第4世代移動通信(4G))の電磁界を胸の部分に5分間適用した。短期的なHRV指標を、複雑な心臓自律神経制御の指標として用いた。評価したHRVパラメータは、R-R間隔(ms)、心臓迷走神経制御の指標としての高周波スペクトルパワー([ln(ms2)] でのHF-HRV)、および心臓の交感神経活動を示す0 V%の記号動的指標とした。その結果、2400 MHz(Wi-Fi)ばく露中は、シミュレートした4G 2600 MHzと比較して、心臓関連の副交感神経指数 HF-HRV が有意に減少し(p = 0.036)、交感神経HRV指数 0V %が有意に増加した(p = 0.002)。R-R 間隔には有意差は認められなかった。この結果は、若い健康な被験者では、電磁界ばく露中のHRVパラメータによって指標化される心臓の自律神経調節が、交感神経の過剰活動と副交感神経の活動低下に向かうことを示している。HF電磁界ばく露は、心臓の複雑な自律神経調節機能の異常を生じ、健康な被験者においても心血管合併症のリスクを高める可能性がある、と著者らは結論付けている。
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