この症例報告の著者らは、以前は健康であった63歳の男性および62歳の女性が、彼らの住む集合住宅の屋上に第5世代移動通信(5G)基地局が設置された後にマイクロ波症候群を発症したと主張している。同じ個所に第3/第4世代の基地局が数年前から存在した。5G基地局から5 m下の寝室の3か所では、最大レベル(最も高いピーク測定値)が354 000、1 690 000、および>2 500 000 µW/m2[0.354、1.690、>2.500 W/m2]で、これに対して5G展開前は9 000 µW/m2[0.009 W/m2]であった。5G展開後に急激に現れた症状はマイクロ波症候群に一般的なもので、例えば神経症状、耳鳴り、倦怠感、不眠、精神的苦痛、皮膚症状、血圧変動であった。症状は特に女性で顕著であった。症状があまりに重かったので、夫妻は住居を去り、小さなオフィスに移った。そこでの最大(ピーク)レベルは3 500 µW/m2[0.035 W/m2]で、数日すると症状は軽減、または完全に消失した。この病歴は古典的な誘発試験とみなすことができる。集合住宅での高周波(RF)放射レベルは、国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)が推奨する、それ以下では健康影響が起こらない「安全」とされている限度値よりもはるかに低かったが、この症例報告に示すマイクロ波症候群の症状は非熱作用によって生じたものであり、スウェーデンを含む大半の国々で用いられているICNIRPガイドラインはヒトの健康を防護していないことを示している。RF放射からの全ての生物学的悪影響に基づくガイドライン、ならびにヒトの健康のモニタリングがが緊急に必要である、と著者らは結論付けている。
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