[雄ラットの学習および記憶に対する携帯電話妨害装置の放射の影響の評価] med./bio.

先行研究では、携帯電話がヒトの作業記憶を阻害し得ることが示されている。この研究は、ラットの学習および記憶に対する、一般的な携帯電話妨害装置からの高周波（RF）放射の影響を調べた。Sprague-Dawleyラット90匹を9群（それぞれn = 10）に割り付けた（対照群、擬似ばく露群1（スイッチを切った妨害装置に50または100 cmで1日、2時間ばく露）、擬似ばく露群2（スイッチを切った妨害装置に50または100 cmで14日、2時間／日ばく露）、ばく露群1（スイッチを入れた妨害装置に50または100 cmで1日、2時間ばく露）、ばく露群2（スイッチを入れた妨害装置に50または100 cmで14日、2時間／日ばく露）。翌日にシャトルボックスで学習および記憶試験を実施した。暗部に進入するのに要した時間を記憶とみなした。その結果、ばく露群（50 cm、1日）の平均的な短期記憶は、対照群および擬似ばく露群（50 cm、1日）よりも短く（P = 0.034）、長期記憶も同様であった。ばく露群（100 cm、1日）の平均的な短期記憶および長期記憶は、対照群および擬似ばく露群（100 cm、1日）と同様であった（P > 0.05）。ばく露群（50 cm、14日間）の平均的な短期記憶は、対照群および擬似ばく露群（50 cm、14日間）と同様であったが、長期学習記憶は短かった（P = 0.038）。ばく露群（100 cm、14日間）の平均的な短期記憶および長期記憶は、対照群および擬似ばく露群（100 cm、14日間）と同様であった（P > 0.05）。妨害装置にばく露したラットは短期記憶および長期記憶に障害を呈した。波源からの距離がばく露時間よりも重要であることが示された、と著者らは結論付けている。