国際機関は、電磁界ばく露からのヒトの防護のための規格およびガイドラインの改定で協力している。6-300 GHzの周波数範囲では、主に熱的モデリングから導出される空間平均の上皮/吸収電力密度(EPD/APD)が基本制限とされているが、ヒトの組織内でのEPD/APDの平均化手法については、少数のグループが異なるばく露条件および数値計算法を用いて取得した計算結果を提示しているに過ぎない。この周波数範囲における実験的検証が極めて重要であることから、この研究は、10-90 GHzの範囲の異なる周波数にばく露した人体モデル内でのEPD/APDの計算値の最初の相互比較を提示している。この相互比較の目的は、平面皮膚モデルを用いた11の研究グループからのドシメトリ分析において、異なる数値計算法によって生じた計算結果における相違を明確にすることである。各種の重要なパラメータによって生じるばらつきを抑えるため、計算条件(例:アンテナタイプ、大きさ、皮膚モデルの誘電特性)を統一した。その結果、単層および三層の皮膚モデルに対するピーク空間平均EPD/APDの相対標準偏差の最大値は、ばく露源にダイポールアンテナを用いた場合、それぞれ17.49%および17.39%未満であった。ダイポールアレイアンテナを用いた場合、最大値はそれぞれ32.49%および42.55%に増加した。検討したばく露シナリオ下では、周波数が10-90 GHzに上昇した場合、空間平均EPD/APDの相対標準偏差は42.55%から16.7%に低下した。更に、空間平均EPD/APDの導出のためにばく露ガイドラインで推奨されている2つの等式からの逸脱は最大で1 dB以内であった。相互比較の結果が良好に一致したことから、平面皮膚モデルを用いて計算した空間平均EPD/APDのばらつきは僅かであることが示された、と著者らは結論付けている。
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