この研究は、密集した都市環境における第5世代移動通信(5G)ネットワークの電磁界ばく露を、アップリンク(UL)およびダウンリンク(DL)についてレイトレーシングアプローチを用いて調べた。マルチユーザービームフォーミング機能を有するMassive MIMOアンテナを検討した。DLでは、全てのアクティブなユーザーにビームを指向させる最大レート送信(MRT)技術が用いられ、電磁界ばく露レベルの評価には総電力密度が用いられる。他方、ULによる電磁界ばく露の調査では、電界強度および比吸収率(SAR)が用いられる。この研究で著者らが提案しているレイトレーシングベースの評価では、電磁界の空間的ばらつきのレベルを効果的に評価するため、建物の3D幾何学、電磁界の特性、マルチパス伝播、ユーザー位置およびビームフォーミング放射パターンを含む、ばく露シナリオの詳細な情報を利用する。ユーザーの密度と分布が異なる場合のインパクトを、電力密度およびSARに関して分析した。その結果、DLについては、エリア内のアクティブなユーザー数が1人から100%に増加した場合、ピーク電力密度が6.65から24.92 dBm/m^2に増加することが示された。最悪ケースのシナリオを考慮すると、この電力密度でのばく露は国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)の限度値の62%に達する。アクティブなDLビーム数が25%を超えると、電磁界の空間分布の飽和が生じる。ULについては、エリア内のアクティブなユーザー数が25%から100%に増加した場合、ユーザーの位置から半径5 m以内での平均電界強度が2.40から3.98 V/mに増加する(66%の増分)。更に、100%のユーザーがアクティブに送信した場合、SARが0.06 W/kg(ICNIRPの限度値の3%)を超える確率は僅か10%である、と著者らは報告している。
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