ダウンロードのピーク速度や高出力ビームが期待できる第5世代移動通信(5G)の導入に伴い、従来の測定アプローチを見直す必要がある。国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)は、生体組織の電磁界ばく露の評価に有益なガイドラインを提示し、有害とみなされる閾値よりもばく露を十分に低く抑えるための限度値を幾つか示している。しかしながら、5GやWi-Fiといった現代のパケット無線技術は、古い放送技術とは異なり、高出力を非常に短いバーストで送信し、広帯域に広がるので、スペクトルアナライザ等の従来の機器を用いた電界の測定はますます困難になっている。加えて、5Gは空間集積能が高いので、小さなエリア内でも電磁界は大きく変化し得る。このため、効果で嵩張るスペクトルアナライザを用いて得られるよりも高い空間密度での測定が緊急に必要である。サイズおよび費用対効果的な代案として、ソフトウェア定義無線(SDR)を用いて、時間領域の信号を補足し、測定精度を高めることができるが、SDRはRF電力メーターとして用いるようには設計されておらず、測定した電力が正しいことを担保するには、精密な較正とデータ分析が必要である。この研究は、SDRをRF電力の測定と対応する電界値の抽出に利用できるようにするため、その較正の一般的な枠組みを提示することを目的として、電界測定値の精度に対するSDRのパラメータの影響力を調べた。実生活シナリオでのこの較正の枠組みの性能を評価するため、較正済みのSDRを有する民間の5Gネットワークを用いてRF電力を測定した。その結果、5Gネットワークの電界ばく露は平均で1 V/mを十分に下回ることが示された、と著者らは報告している。
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