[生体系に対する静磁界の影響の根底にある生物物理学的機序] review

このレビュー論文は、生体系に対する静磁界の影響の根底にある生物物理学的機序について、以下のように論じている。細胞および生体内の磁性材料の存在は、各種の生物学的代謝およびプロセスに影響を及ぼし得る。これには、ストレス応答、増殖、構造学的整列が含まれる。静磁界は一般的に、臓器および生体レベルでは安全であることがわかっている。但し、強い静磁界にばく露されたヒト被験者には副作用が報告されている。このレビュー論文の著者らは、生物学的サンプルの磁気特性を組み合わせ、生体系に対する静磁界の作用機序を生物物理学的観点から説明している。著者らは、生体系に対する静磁界の主な作用機序には、電界および電流の誘導、磁気効果の発生、電子スピンの影響力が含まれることを示唆している。静磁界中を流れる電解質は誘導電流と電界を発生させる。磁気機械的効果には、生物学的サンプルを磁界にばく露する際の配向作用や、強い磁界勾配内での生物学的サンプルの移動が含まれる。静磁界は電子スピンに影響力を及ぼすことで、生化学反応速度に影響を及ぼすと考えられている、と著者らは述べている。