6 GHz超の電磁界への局所ばく露からのヒトの防護のための国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)のガイドラインおよび電気電子学会(IEEE)のC95.1-2019規格では、正方形の面積で平均化した吸収(または上皮)電力密度(APD)および入射電力密度(IPD)が、それぞれ身体内部および外部でのばく露限度を定める物理量とされている。IPDの測定手順および評価が技術規格で確立されているが、IEC/IEEE 63195-1および-2では平面でない表面に対してのみ円形の平均化面積が推奨されている。この研究は、APDおよびIPDについての二つの平均化形状の影響を数値計算により評価し、ばく露規格の観点からの新たな洞察を提示している。長方形およびヒトモデルにおけるAPD、IPDと定常状態の温度上昇(加熱係数)との関係を、単一ダイポール、ダイポールアレイ、およびガウスビームへのばく露について、有限要素法を用いた計算で調べた。その結果、正方形および円形の平均化面積に対するAPDおよびIPDの加熱係数の差は最大で、アンテナとモデルとの間隔が5 mm超でそれぞれ4.1%および4.4%であった。この差は、モデルの表面に対するビームのパターンが楕円形の場合に生じた。アンテナとモデルとの間隔が5 mm以下、周波数が15 GHz以下では、正方形の平均化面積に対する加熱係数は、電磁界のパターンにより円形の平均化面積に対して必ずしも常に保守的ではなく(IPDで-7.8%)、その場合はアンテナの給電点のみがビーム形成前に見える。円形の平均化面積に対するAPDおよびIPDの加熱係数は、300 GHzまでの近傍界ばく露に対しては保守的であるが、ビームの長軸と短軸の比率が有意で、正方形の平均化面積に対する角度が30°-60°の場合は除く。この一般的な傾向は、ばく露規格と製品規格との間のギャップを埋めることに資するであろう、と著者らは結論付けている。
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