米国国家毒性プログラム(NTP)は、900および1900 MHz携帯電話電波の長期的な発がん性および遺伝毒性についての小型動物を用いた研究を実施し、最も高いばく露レベルの雄ラットにおいて心臓の悪性神経鞘腫の増加を見出した。このNTP研究の結果を検証・確認するため、日本および韓国において同研究と同様の反射箱型のばく露装置を用いた共同研究が、この論文の著者らによって実施されている。この著者らは、反射箱内の電界強度とばく露レベル、即ち全身平均の比吸収率(WBA_SAR)との定量的な関係を、大規模な有限差分時間領域(FDTD)シミュレーションに基づいて導出している。2つのFDTDシミュレーション法(単一平面波入射を用いたものと、同時平面波入射を用いたもの)を比較し、利便性と計算時間の節約のために前者を採用した。その結果、WBA_SARの導出に必要な電界強度との定量的な関係は、ラットの体質量のみを考慮した一次元近似モデルと、体質量だけでなくラットの数も考慮した二次元近似モデルで構成される。これら2つの近似モデルで2年間のばく露期間全体をカバーし、2年間のばく露実験におけるばく露レベルは良好に制御されている。更に、NTP研究におけるドシメトリとは異なり、計算ドシメトリの不確かさ解析をより詳細に実施したところ、WBA_SARの標準的な不確かさは16.1%であることが示された、と著者らは報告している。
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