国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)の2020年の高周波(RF)ガイドラインは、ヒトの健康影響についての実際的な温度上昇の閾値、即ち運用上の健康悪影響の閾値を、吸収電力密度およびエネルギー密度の基本制限の基礎を成すものと定義している。6 GHz超の周波数での局所ばく露に対するこれらの基本制限は、数値計算による温度上昇を、2.5℃の温度上昇(運用上の健康悪影響の閾値を職業ばく露に対する安全係数2で除したもの)と比較することで評価される。この研究は、パルス化および連続波ばく露の両方についての職業ばく露に対する基本制限で許容されている、吸収電力密度およびエネルギー密度の最大レベルを用いた数値計算モデルにより、三層および四層の組織モデルならびに各種のビーム直径、周波数、およびばく露時間を考慮して、ICNIRPの基本制限の分析を実施した。その結果、ICNIRPが6 GHz超の周波数範囲に対して仮定している職業ばく露についての安全係数は、全てのばく露シナリオに対して十分には維持されず、これは30 GHzまたはより高い周波数でのビーム直径が小さい短パルスばく露では特にそうであることが示された。最悪ケースの組織温度上昇は、ICNIRPが目標とする温度上昇よりも最大で3.6倍高いと推定された。この論文の著者らは、ICNIRPの2020年のガイドラインの局所ばく露に対する基本制限の適用を若干改変し、それによって最悪ケースの組織温度上昇を目標値の1.4倍に制限することを示唆している。
このウェブサイトはクッキー(Cookies)を使って、最善のブラウジングエクスペリエンスを提供しています。あなたがこのウェブサイトを継続して使用することで、私たちがクッキーを使用することを許可することになります。