ワイヤレス電話(携帯電話およびコードレス電話)は、高周波(RF)電磁界だけでなく、超低周波(ELF)磁界も生じ、ワイヤレス電話使用によって生じるかもしれない健康への悪影響についての疫学研究では、これら両方を考慮することが望ましい。この論文の著者らは、多国間の症例対照研究MOBI-Kidsのために開発した、本研究の被験者(10-24歳)に対してそれぞれRFおよびELFから生じる脳内の累積比エネルギー(CSE)および累積誘導電流密度(CICD)を推定する斬新なアルゴリズムを説明している。年齢、腫瘍の部位、自己申告の電話の機種、および使用パターン(側性、通話頻度/時間、ハンズフリー装置の使用)といった要因、ならびに異なる通信システムの経時的普及率を考慮した。その結果、CSEおよびCICDの中央値は、第3世代(3G)よりもGSM[第2世代(2G)]で大幅に高く、脳内の部位によって相当ばらつきがあった。RFのCSEと携帯電話使用の変数との間には、中程度の一致から一致なしが認められ、これは通信システムに依存していた。携帯電話使用の変数とELFのCICDとの間には全体として高い一致が認められたが、これも同様に通信システムに依存していた。脳でのELFのばく露量分布はRFよりも拡散していたものの、RFとELFのばく露量には高い相関が認められた。このアルゴリズムを用いてワイヤレス電話からの脳内の局所的なRFおよびELFばく露量を系統的に推定したところ、部位および通信システムに強く依存していることが認められた。地図作成による分析では、電話の機種間および年齢間での高い相関が認められたが、これらの間で対角線的一致が認められたことから、これらの要因がばく露量の分布にある程度の影響を及ぼしていることが示唆された。全体として、音声通話用の通信システムは時間と共にますます複雑になっていることもあり、通話時間および通話件数はばく露量の適切な代用値ではないかもしれないことが示された、と著者らは結論付けている。
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