小児白血病と、電力線および各種の電気製品から生じる超低周波(ELF)磁界との関連は、過去40年間に広く研究されてきた。しかしながら、ELF磁界が白血病のリスク因子となる条件は依然として不明である。この論文の著者らは、複数の発生源からのELF磁界と小児白血病との関連を解明するため、系統的レビューおよびメタ分析を実施した。Medlin、Scopus、CochraneおよびDAREデータベースを系統的に検索し、ELF磁界と小児白血病との関連を調べた個々の論文を同定した。磁界ばく露の評価に用いられた異なる指標(磁束密度:< 0.2 μTと> 0.2 μTを比較;子どもの住居から電力線までの距離:> 200 mと< 200 mを比較;ワイヤコード:定電流配置と高電流配置を比較)を考慮した、全体的なメタ分析を実施した。更に、磁束密度、電力線への近接度、ワイヤコードのいずれかに基づいたメタ分析を実施した。電気製品と小児白血病との関連も調べた。参考文献863報のうち、38報を系統的レビューに包含した。その結果、全体的なメタ分析では、小児白血病とELF磁界との関連が示され(21報をプールしたオッズ比(OR)= 1.26、95%信頼区間(CI)= 1.06-1.49)、関連は主に2000年以前に実施された研究によるものと説明された(初期の研究:プールしたOR = 1.51、95% CI = 1.26-1.80に対し、後期の研究:プールしたOR = 1.04、95% CI = 0.84-1.29)。磁界測定値を用いた研究のみに基づいたメタ分析では、小児白血病と関連した磁束密度の閾値は0.4 μT超であることが示された(12報、> 0.4 μT:プールしたOR = 1.37、95% CI = 1.05-1.80;急性リンパ芽球性白血病のみについての7報、> 0.4 μT:プールしたOR = 1.88、95% CI = 1.31-2.70)。より低い磁界は白血病と関連していなかった(12報、0.1-0.2 μT:プールしたOR = 1.04、95% CI = 0.88-1.24;0.2-0.4 μT:プールしたOR = 1.07、95% CI = 0.87-1.30)。距離を用いた研究(5報)のみに基づいたメタ分析では、電力線から50 m以内および200 m以内での居住についてプールしたORは、それぞれ1.11(95% CI = 0.81-1.52)および0.98(95% CI = 0.85-1.12)であった。電力線から50 m以内での居住と急性リンパ芽球性白血病についての個別の分析では、プールしたOR = 1.44(95% CI = 0.72-2.88)であった。ワイヤコードを用いた研究(5報)のみに基づいたメタ分析では、非常に高い電線配置(VHCC)についてプールしたOR = 1.23(95% CI = 0.72-2.10)であった。電気毛布(4報、プールしたOR = 2.75、95% CI = 1.71-4.42)および電気置時計(4報、プールしたOR = 1.27、95% CI = 1.01-1.60)へのばく露後の小児白血病のリスク上昇が示された。これらの結果は、0.4 μT 超のELF磁界は小児の白血病、おそらく急性リンパ芽球性白血病の発症リスクを高め得ることを示唆している。0.4 μT 超のELF磁界を生じる電気毛布のような電気製品への長時間ばく露は、小児白血病のより高いリスクと関連している、と著者らは結論付けている。
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