[小児白血病のリスク因子:放射線の他に] basics

Risk Factors for Childhood Leukemia: Radiation and Beyond

掲載誌: Front Public Health 2021; 9: 805757

小児白血病が遺伝的因子および環境因子が役割を担っている多因子プロセスによって生じることに疑いの余地はない。但し、様々な科学分野での尽力にもかかわらず、この病気の原因と、可能性のある複数のリスク因子の相互作用については、依然としてほとんど理解されていない。小児白血病の原因についての研究を前進させるため、ドイツ連邦放射線防護局(BfS)は2008年以降、2-3年ごとに国際的なワークショップを開催している。2019年11月にはフライジングで「小児がんの原因についての第6回国際ワークショップ」を開催し、多様な学問分野からの専門家が集まった。同ワークショップは主に、遺伝的および環境的リスク因子の2つのパートに分けられた。更に2つの特別セッションでは、小児白血病リスクに対する自然界のバックグラウンド放射線の影響力、ならびに、世界中で最も一般的な形態の白血病である急性リンパ芽球性白血病の実験研究に用いられるマウスモデルの開発の進捗を取り上げた。ワークショップの発表では、小児白血病、特に急性リンパ芽球性白血病の環境的リスク因子としての感染症の役割が強調された。2つのマウスモデルである、Pax5+/- およびSca1-ETV6-RUNX1からの重要な支援が得られ、これは近年における大きな進展の一つである。どちらのモデルのマウスも、一般的な感染症にばく露した場合にのみ白血病を発症する。これらの結果は、小児白血病の発症に対する遺伝子と環境の相互作用のインパクトを強調しており、そのような相互作用についての更なる研究を是認するものである。これは特に、遺伝的素因は小児白血病の発症頻度の増加に伴い検出されるためである。この論文は、国際的な文献の文脈で同ワークショップの発表を要約し、その結果を考察している。

ばく露