研究のタイプ: 疫学研究

[認知障害および認知症の環境要因およびリスク:系統的レビューおよびメタ分析] epidem.

Environmental factors and risks of cognitive impairment and dementia: A systematic review and meta-analysis

掲載誌: Ageing Res Rev 2021; 72: 101504

この論文は、年齢に関連した認知障害および認知症と、自然、物理的、社会的な環境要因との関連をレビューしている。観察研究を対象に、文献データベースPubMed、EMBASE、Web of Science、PsychINFOを2021年1月11日まで系統的に検索した。無作為影響法を用いて、95%信頼区間(CI)のあるハザード比(HR)、相対リスクRR)、オッズ比OR)を集めた。それぞれの関連についての証拠の質を評価した。その結果、同定された48,399報のうち、44の環境要因についての185報がレビューに適していた。22の要因についてメタ分析を実施した。証拠の質が中程度~高いものとして、直径2.5 μm以下の粒子状物質(PM2.5:HR = 1.24、95% CI = 1.17-1.31)、二酸化窒素(NO2:HR = 1.07、95% CI = 1.02-1.12)、アルミニウム(OR = 1.35、95% CI = 1.14-1.59)、溶剤OR = 1.14、95% CI = 1.07-1.22)、道路への近接度(OR = 1.08、95% CI = 1.04-1.12)についてリスクが示唆され、高頻度の社会的接触(HR = 0.82、95% CI = 0.76-0.90)、緑の多い環境(OR = 0.97、95% CI = 0.95-0.995)は防護的であった。証拠の質が低い~非常に低いものとして、電磁界、殺虫剤、二酸化硫黄(SO2)、近隣の社会経済的状態、田舎暮らしについてリスクが示唆され、コミュニティのより頻繁な文化的関与は防護的かもしれないことが示された。直径10 μm以下の粒子状物質(PM10)、窒素酸化物(NOx)、騒音、ケイ素、コミュニティの集団、温度については、有意な関連は認められなかった。残りの22の要因については、研究が少なすぎるか情報が不足しているため、記述的分析のみを実施した。このレビューは、大気汚染、特にPM2.5とNO2が、年齢に関連した認知障害および認知症リスクにおいて重要な役割を担っていることを強調している、と著者らは結論付けている。

ばく露