この論文の著者らは、ミリ波および準ミリ波へのばく露による皮膚表面での定常状態の温度上昇のシミュレーションのため、半固体の人体ファントムを開発した。このファントムは、主に水とグリセリンで構成される複合材料の電気定数を最適化することによってデザインした。まず、ファントムの組成と周波数に関する複素誘電率の経験式を、ファントムの誘電測定から導出した。次に、皮膚のばく露に相当する温度上昇の取得に用いたファントムの組成を、計算アプローチによって最適化した。ここで、ファントムの組成を10-100 GHzの周波数範囲で最適化した。加えて、20-100 GHzの周波数に対しては、単一の組成を用いることができることがわかった。このファントムは、ヒトの組織の厚さにおける個人差による温度上昇のばらつきの範囲内で、皮膚ばく露による温度上昇をシミュレートすることができた。開発したファントムを、ホーンアンテナ(28 GHz)およびアンテナアレイ(60 GHz)を用いたサーモグラフィー測定によって検証したところ、ミリ波および準ミリ波の電磁界への皮膚のばく露の熱的評価に適用可能であることが示された、と著者らは報告している。
このウェブサイトはクッキー(Cookies)を使って、最善のブラウジングエクスペリエンスを提供しています。あなたがこのウェブサイトを継続して使用することで、私たちがクッキーを使用することを許可することになります。