[数値シミュレーションを通じた1.8 GHzでの2匹の自由ラットについての電磁的ばく露ドシメトリ研究] tech./dosim.

Electromagnetic exposure dosimetry study on two free rats at 1.8 GHz via numerical simulation

掲載誌: Front Public Health 2021; 9: 721166

ヒトの健康に対する電磁界ばく露のインパクトは通常、実験動物で評価される。電磁界ばく露によってラット等の実験動物に生じる生物学的影響はばく露量に依存することが示されている。但し、比吸収率SAR)で示される高周波RF電磁界へのばく露量は、固定されたラットでは数値シミュレーションを用いて比較的良好に研究されているが、自由に動き回るラット(特にラットが2匹以上の場合)のばく露についてのドシメトリ研究は不十分である。この研究は、同じケージ内に自由に動き回るラットが複数匹いる場合のSARのばらつきに焦点を当てている。マイクロ波暗室内の遠方界領域に配置した同じケージ内で飼育した2匹の自由に動き回るラットの活動を、赤外線サーモグラフィーを用いて48時間記録し、2匹のラットの相対位置および向き(相対距離、相対方向角、相対配向角の3つのパラメータで同定)を、画像処理技術を用いて同定した。1.8 GHz電磁波にばく露したラットの全身平均SAR(WB-avgSAR)に対する3つのパラメータの影響力を、シミュレーションソフトウェアXFdtd 7.3を用いて計算・分析した。その後、1匹のラットと比較した場合の2匹のラットのWB-avgSARのばらつきの平均を計算した。その結果、2匹のラットについての3つのパラメータで示される相対姿勢位置がWB-avgSARに影響を及ぼし、様々な位置でのばらつきにつながることが示された。但し、48時間平均のWB-avgSARの変動率は10.3%に過ぎなかった。このことは、ばく露量をリアルタイムで正確に制御する必要がある場合を除いて、2匹以上のラットについての時間平均SARは、1匹の自由に動き回るラットのWB-avgSARで大まかに説明できることを含意している、と著者らは結論付けている。

ばく露