[複雑な都市部における架空送電線から生じる磁界とその変動の地表モデリング用3D GIS［三次元地理情報システム］] tech./dosim.

高圧架空送電線から生じる磁界への居住環境ばく露を、大規模な集団において僅かな影響を検出できるほど正確にモデル化することは難題である。電力設備の近傍環境や、顕著な凹凸がある地形では特に、磁界の発生源からばく露される人々までの距離が決定変数の一つである。しかしながら、磁界ばく露研究では単純化が採用され、地形の起伏や線の折れ曲がりは考慮されていない。この論文は、三次元地理情報システム（3D GIS）技法を応用することで、地表面での磁界強度の生成のためのモデルを提示している。高さが変化する無限長の直線導体に対してビオ・サバールの法則の級数展開を適用し、磁界強度を計算した。検証のため、隙間のある市街地69地点（磁界測定1035回）および混みあった市街地28地点（磁界測定420回）を比較対照とした。その結果、両地域に差はあるものの、良好な推定値が得られた。平均絶対誤差率（MAPE）はそれぞれ9.65% および19.51%、平均平方二乗誤差（RMSE）はそれぞれ0.154 μTおよび0.094 μTであった。測定地点の86%では通常のばく露パーセンタイルに従って性格に分類された。但し、分解能が5 mのデジタル地形モデルを用いて高精度の高度データを取得することが、モデルの良い性能を引き出すための必須条件であった、と著者らは報告している。