研究のタイプ: 疫学研究

[臨床的および生活様式の要因と筋萎縮性側索硬化症のリスク:人口集団ベースの症例対照研究] epidem.

Clinical and Lifestyle Factors and Risk of Amyotrophic Lateral Sclerosis: A Population-Based Case-Control Study

掲載誌: Int J Environ Res Public Health 2020; 17 (3): E857

筋萎縮性側索硬化症(ALS)は進行性で致命的なの神経変性疾患で、その病因は依然としてほとんどわかっていない。この研究は、イタリア北部および南部の4つの州で人口集団ベースの症例対照研究を実施し、生活様式に関する要因についての情報を専用のアンケートを通じて収集することで、非遺伝的なALSリスク要因を評価した。性別、年齢、学歴で調整した無条件ロジスティック回帰モデルを用いてオッズ比OR)および95%信頼区間(CI)を計算し、ALSのリスクを推定した。この調査には230人(症例95人、対照135人)が参加した。その結果、ALSのリスクと外傷、特に頭部外傷(OR = 2.61、95% CI = 1.19-5.72)、電撃(OR = 2.09、95% CI = 0.62-7.06)、一部のスポーツ(競技レベルのみ)との正の関連が認められた。加えて、飲料水用の専用井戸の使用(OR = 1.38、95% CI = 0.73-2.27)、園芸用の除草剤の使用(OR = 1.95、95% CI = 0.88-2.27)を報告した被験者リスク上昇が示唆された。他方、魚介類全般の摂取(OR = 0.27、95% CI = 0.12-0.60)との逆の関連が示唆されたが、量‐反応関係は認められなかった。アミノ酸ビタミン、ミネラル(セレン等)を含む一部の栄養補助食品の消費は、統計的に不正確なリスク上昇と関連しているようであった。これらの結果は、幾つかの臨床的および生活様式の要因が、ALSのリスクにおいて潜在的な病因論的役割を担っていることを示唆している、と著者らは結論付けている。但し著者らは、この研究には幾つかの限界がある点に注意が必要であると指摘している。そうした限界には、サンプルサイズが小さいこと、ばく露された被験者が少ないこと、ばく露の誤分類の潜在的可能性、示唆された要因とALSのリスクとの間にあるかもしれない関連に根底にあるメカニズムについての不確かさ、が含まれる。

ばく露