この論文の著者は、電磁過敏症(EHS)についての最近の研究からの証拠をレビューして、以下のように論じている。一部の人々は、自身が送電線、配線、家電製品、ワイヤレス通信デバイスやネットワークから発せられる人工の電磁界に対して感受性があると考えている。感受性は様々な非特異的症状で特徴付けられ、感受性のある人々は、電磁界にばく露されているときにそれを経験すると主張する。その症状は実生活での障害とみなされているが、それを生じる要因は依然として不明である。科学者は今のところ、感受性のある人々が経験する症状と、電磁界ばく露との因果関係を見出すことができていない。しかしながら、電磁界ばく露と一部の人々の感受性の症状とを結びつけるには、これまでに実施された研究は質が低い。電磁界への感受性は存在するが、それを見つけるために用いられた科学的手法は質が不十分であると考えるのが論理的である。今や、電磁界ばく露の下でボランティア被験者が経験する感覚に基づく非特異的症状について尋ねる、心理学に基づく誘発研究を止める時である。そにょうな研究アプローチでは、主観的で、それゆえ信頼性が非常に低いデータしか得られず、EHSと電磁界との因果関係を証明または反証するには不十分である。研究の新たな方向性が必要である。そのための基礎は、一般的に知られている個人の感受性の概念である。これは、電磁界への反応はその個人の遺伝的およびエピジェネティックな特性に依存する、というものである。この著者は、ボランティア被験者を電磁界にばく露させる誘発研究のアプローチと、客観的データの創出に用いられる、電磁界に対する人体の分子レベルでの生化学反応を検出するトランスクリプトミクスおよびプロテオミクスのハイスループット技術を組み合わせた、新たな研究を提案している。
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