研究のタイプ: 医学/生物学の研究

[LTE高周波電磁界へのばく露はAlt/mTORが介在する細胞老化を通じて神経芽腫細胞の増殖を減少させる] med./bio.

Exposure to long-term evolution radiofrequency electromagnetic fields decreases neuroblastoma cell proliferation via Akt/mTOR-mediated cellular senescence

掲載誌: J Toxicol Environ Health A 2021; 84 (20): 846-857

この研究は、細胞増殖に対するLTE高周波RF電磁界の潜在的影響を調べた。神経芽腫細胞SH-SY5Yを比吸収率SAR)が4 W/kgの1760 MHz RFに4時間/日、4日間ばく露した。その結果、細胞の成長率および増殖が有意に低下した。細胞周期分析では、RFばく露後にG0/G1期の遅滞が認められた。但し、Ser139でのヒストンH2AX(γH2AX)の発現レベルに顕著な変化は見られず、アポトーシス経路は活性化されなかったことから、RFばく露後の細胞増殖の低下にはDNA損傷またはアポトーシスは関与していなかった。しかし、RFばく露細胞にはAktおよびmTORのリン酸化レベルの有意な上昇が認められた。加えて、p53およびリン酸化p53の総量は有意に減少した。データから、Akt/mTORが介在する細胞老化が、SH-SY5Y 細胞のmTOR経路の刺激を介してp53の活性化につながったことが示唆された。p53の転写活性化は、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害剤のp21およびp27の発現の増加につながった。更に、その後のCDK2およびCDK4の阻害は、リン酸化網膜細胞腫の減少を生じた。まとめると、これらのデータは、RF電磁界ばく露はAkt/mTORが介在する細胞老化を生じる可能性があり、これはSH-SY5Y神経芽腫細胞にDNA損傷のトリガを引くことなく細胞周期遅滞を生じ得る、と著者らは結論付けている。

ばく露