非悪性の髄膜腫および前庭神経鞘腫の病因はほとんど理解されていないが、携帯電話使用がこれらの腫瘍の発症のリスクに寄与しているかどうかについての懸念が生じていることから、この研究は、米国における非悪性の髄膜腫および前庭神経鞘腫の発生率の時間的傾向を分析した。「調査、疫学、および最終結果(SEER)」の18の登録簿における2004-2017年の成人の非悪性の髄膜腫および前庭神経鞘腫の発生を、顕微鏡検査またはエックス線検査で確認した。対数‐線形モデルを用いて年間変化率(APC)および95%信頼区間(CI)を推定した。その結果、髄膜腫全体(n = 108,403)の発生率は2004年から2009年に有意に上昇した(APC = 5.4%、95% CI = 4.4%-6.4%)が、その後の上昇は2017年まで緩やかであった(APC = 1.0%、95% CI = 0.6% - 1.5%)。顕微鏡検査で確認した髄膜腫は2004年から2017年までほとんど変化しなかった(APC = -0.3%、95% CI = -0.7% - 0.1%)が、エックス線検査で確認した髄膜腫は2009年まで急増し(APC, 9.5%; 95% CI, 7.8% - 11.1%)、その後は程々に増加した(APC = 2.3%、95% CI = 1.5% - 3.0%)。前庭神経鞘腫全体(n = 17,475)の発生率は安定していた(APC = 0.4%、95% CI = -0.2% - 1.0%)が、顕微鏡で確認した前庭神経鞘腫の発生率は減少した(APC = -1.9%、95% CI = -2.7% - -1.1%)一方で、エックス線検査で確認した前庭神経鞘腫は増加した(2006-2017:APC = 1.7%、95% CI = 0.5%-3.0%)。それぞれの腫瘍について、診断方法による傾向は男女および各人種/民族グループで同等であったが、エックス線検査ではより高齢の患者、より小さな腫瘍が診断されることが多かった。髄膜腫についての傾向およびエックス線検査で確認した症例の比率は、登録簿ごとのばらつきが大きかった。この大規模な詳細評価では、全体的な傾向は診断方法による差が曖昧であったが、最近の発生率が安定していることは、携帯電話使用と関連しているとの主張に反するものである。これらの非悪性腫瘍の登録を改善するため、登録簿間のばらつきを評価する必要がある、と著者らは結論付けている。
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