この研究は、DNA二本差切断に対するLTE電磁界(1.762 GHz、比吸収率(SAR)8 W/kg)の影響を、ネズミ黒色腫細胞株B16およびヒトケラチノサイト細胞株HaCaTを用いて調べた。その結果、LTE単独ばく露では、細胞の生存率への影響はなく、アポトーシスまたは細胞壊死も誘発しなかった。また、DNA二本差切断(中性コメットアッセイで判定)も生じなかった。LTEばく露は物理的因子(例:電離放射線)または化学的因子(例:ブレオマイシン)で誘導したDNA二本差切断を減衰することができたことから、LTEばく露はDNA二本差切断の修復を促進することが示唆された。このDNA二本差切断に対するLTEの防護作用は、DNA損傷の指標であるγ-H2AXの減衰によっても確認された。更に、マウスに対するイン・ビボでのLTEばく露(1.76 GHz、6 W/kg、8時間/日、4週間)は、皮膚組織におけるγ-H2AXレベルを低下させたことから、DNA二本差切断に対するLTEの防護作用が支持された。加えて、重要な腫瘍抑制遺伝子であるp53が、B16およびHaCaTで共通してLTEばく露によって上方制御された。この知見は、p53がDNA二本差切断に対するLTEの防護作用において役割を担っていることを示唆している。これらの結果は全体として、LTE電磁界には皮膚細胞でのDNA二本差切断に対する防護作用があることを示すものである、と著者らは結論付けている。
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