研究のタイプ: サーベイ

[聴神経鞘腫とモバイルデバイスからの非電離放射線への職業的ばく露との因果関係を確立できるか? 科学文献データと法医学的手法との比較] review

Can a causal relationship be established between acoustic neuroma and occupational exposure to non-ionizing radiations from mobile devices? Comparison between scientific literature data and medico-legal methodology

掲載誌: Clin Ter 2021; 172 (3): 197-205

因果関係の確立のプロセスにおける医学的および法的手法は定義や用語がばらばらで、そのことが専門家証人の活動の妨げになっている。この論文は、どのような条件下であれば、聴神経鞘腫とモバイル通信デバイスからの非電離放射線ばく露との因果関係が確立されるかを、系統レビューで調べた。著者らは、稀な腫瘍異常に長い定常的使用による非電離放射線ばく露という特異な事例において、そのような因果関係を見出したイタリアのトリノ控訴裁判所の2020年の判決を参考にした。著者らは、a. 神経鞘腫の病因に関連する科学的証拠、b. 因果関係評価基準を定義した入手可能な法医学的文献、c. 因果関係の証明に適用される蓋然性基準に関連する裁判所提出資料に照らして分析を行った。その結果、ばく露が相当の強さと長さにわたる場合でさえも、適用される法医学的基準の一貫性が十分でない場合、因果関係があるという可能性の方が、因果関係がないという可能性よりも高いと証明できなかった。複数の要素(a. ヒトについての証拠が不足している、b. そのような放射線にばく露したラットは耳ではなく心臓腫瘍が生じた、c. ばく露はマウスには腫瘍を生じなかった、d. ばく露の長さは腫瘍のサイズや種類と整合しなかった)から、因果関係の可能性はなさそうであるということが示唆された、と著者らは結論付けている。

影響評価項目

ばく露