この研究は、精子の質に対する携帯電話放射の影響についての最新の証拠を用いたメタ分析を実施し、この論点について幾つかの視点を提示している。MEDLINE/PubMed、Embase、WOS、CENTRALおよびClinicalTrials.govのデータベースを用いて、精子の質に対する携帯電話使用/携帯電話の高周波(RF)電磁放射の影響についての2020年12月までに発表された研究を取得・スクリーニングし、39報の研究を分析対象に含めた。これらの研究のデータの質および一般的な情報を評価・記録した。更なる分析のため、精子の質についてのデータ(精子濃度、運動性、生存能力、形状、DNA断片化指数(DFI))を編集し、サブグループ分析、感度解析、出版バイアス分析を実施した。その結果、ヒトについての横断的研究をプールした結果からは、携帯電話使用と精子の質の低下との関連に対する支持は得られなかった。研究の不均質性には研究分野の違いが影響していた。東欧および西アジアにおける研究では、携帯電話使用は精子の密度および運動性の低下と相関していた。携帯電話のRFばく露は、イン・ビトロでの成熟ヒト精子の運動性および生存率を低下させ得ることが示された。動物研究をプールした結果からは、携帯電話のRFばく露は精子の運動性および生存率を抑制しうることが示された。更に、マウス、10週齢以降のラット、ばく露中に拘束したラットでは、精子の濃度の低下が低下した。齢、モデル化の手法、ばく露に用いたデバイス、ばく露時間の違いが、動物研究での不均質性に影響していた。今後の研究では、携帯電話のRF放射のばく露量の潜在的影響を評価するため、新たな標準化されたクライテリアを適用すること、機能レベルおよび分子レベルでの精子に関する更なるパラメータ、ならびに生殖細胞の生物学的特性の変化を評価すること、個々の臓器に対する携帯電話のRF放射のインパクトを調べることが望ましい、と著者らは述べている。
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