[ミリ波からの角膜への不均一なばく露] tech./dosim.

Nonuniform Exposure to the Cornea from Millimeter Waves

掲載誌: Health Phys 2021; 120 (5): 525-531

この研究は、94-100 GHzのミリ波からの角膜への不均一なばく露について、以下のように論じている。2報の先行研究が、短時間(1-6秒)の高フルエンスミリ波(94 GHz)パルスばく露したアカゲザルの角膜での温度上昇を測定しており、そのうちの1報は角膜損傷に対する閾値も推定している(確率50%で目に見える病変を生じるばく露量:ED50として報告)。どちらの研究も、ミリ波干渉効果により角膜表面での温度上昇に大きなばらつきがあることに留意している。この研究は、100 GHzの平面波エネルギーへのばく露からのヒトの角膜でのミリ波吸収および温度上昇の高解像度シミュレーションを用いて、このばらつきを調べた。計算は先行研究に基づいて行った。シミュレーションの結果、高強度ミリ波パルスへの短時間ばく露(10秒まで)による角膜でのピーク温度上昇は、入射エネルギーの偏波に応じて中央値の1.7-2.8倍であった。単純な一次元の「ベースライン」モデルでは、角膜での温度上昇の中央値の良好な推定が得られた。別の2つの推定では、入射100 GHzパルスの最小フルエンスで表した熱的損傷を生じる閾値が得られた。最初の推定はパルス赤外エネルギーによる熱的損傷についての閾値に基づいており、2つ目の推定は熱的損傷モデルに基づいている。この研究で検討したミリ波パルスは、電気電子学会(IEEE)または国際非電離放射線防護委員会ICNIRP)のばく露限度を遥かに上回るものであるが、一部の非殺傷兵器システムから生じることがある。眼の近くの構造物からのミリ波反射による干渉効果が、角膜とその周辺の顔部組織でのエネルギー吸収の非常に局所的なばらつきを生じるので、強いパルスミリ波へのばく露ハザード分析の際にこのことを検討することが重要である、と著者らは結論付けている。

ばく露