この研究は、健康影響の増大を示す研究結果の選択的な報告が、受け手のリスク認知にどのように影響力を及ぼすかを調べた。携帯電話使用とがんについての2010年以降のInterphone Studyを例に、回答者を2群に分けたオンライン実験を実施した。一方の群の被験者には、携帯電話の過度使用と神経膠腫(脳腫瘍)のリスク上昇との関連についての情報を選択的に提示した。他方の群の被験者には、累積通話時間による神経膠腫のリスク分析の全ての結果(ヘビーユーザー以外では携帯電話使用に関連した統計的に有意なリスク上昇はなかったことを示唆)についての情報を提示した。その結果、完全な情報を提示した場合と比較して、リスク情報の選択的報告はリスク認知を高めることが示された。更に、選択的情報を提示された被験者には、「脳腫瘍のリスク上昇」を携帯電話ユーザー全体に過度に一般化する傾向がより強く見られた。但し、他の電磁界発生源への過度の一般化、または、あるかもしれない健康リスクに対する使用時間依存性の認知における差異はなかった。これらの結果は、効果的なリスクコミュニケーションにおいては、完全な結果を報告することが重要な要因であることを示している、と著者らは結論付けている。
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