経頭蓋電流刺激(tECS)によって誘導される網膜閃光現象は、網膜の活性化の産物であり、電極の配置が一次視覚野の真上にある場合でもそうであると一般的に信じられているが、このtECSによる閃光の由来は完全には決定されていない。この研究は、脳のどの部位が閃光に寄与しているかを判断するため、FPz[前部前頭葉中心部]-Oz[視覚野中心部]モンタージュ[電極配置]の閃光の検出閾値を用いて、(i) 網膜などの前頭前野が閃光に寄与しているかどうかを判断するため、Oz-Cz[中心溝中心部]モンタージュと、また(ii) 後頭葉の視覚野が閃光に寄与しているかどうかを判断するため、FPz-Czモンタージュと、それぞれ比較した。22人の参加者が、それぞれのモンタージュで6、10、16、20、24、28、32 HzのtECSを受けた。モンタージュ間の網膜および後頭葉での電流密度の違いを推定するため、20の頭部モデルで閃光閾値での電流密度のモデリングを測定した。その結果、網膜付近での電流密度の増加(Oz-Czに対するFPz-Oz)は閃光閾値を低下させた。これはtECSによる閃光が網膜で発生しているという仮説と一致する。但し、後頭皮質付近での電流密度の増加(FPz-Czに対するFPz-Oz)も閃光閾値を低下させたが、モデリングによる推定によれば、網膜で必要とされる電流密度はもっと低かった。これらの結果は、後頭皮質のtECSも閃光の近くに寄与していることを示唆している、と著者らは結論付けている。
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