研究のタイプ: 疫学研究 (observational study)

[中国・上海における職業と膵臓がんの発生率] epidem.

Occupation and pancreatic cancer risk in Shanghai, China

掲載誌: Am J Ind Med 1999; 35 (1): 76-81

(1)調査方法:1990-1993年に初めて膵臓がん診断された451人の膵臓がん患者と、対照としてランダムに抽出を行った上海の住民1,552人を研究対象として症例-対照研究を行った。職歴や他の因子については対面調査によって情報を得た。(2)曝露評価:曝露評価は標準化コード法による職種と職業曝露マトリックス(JEM)によって行った。職種については、常用的に雇用されていた職業により評価した。(3)統計手法:相対リスクは、95%信頼区間とともにオッズ比として計算した。また、年齢、教育、収入、喫煙、その他の職業について無条件ロジステック回帰による調整を行った。 結果:男性については、膵臓がんの職業と発生率の関連は電気技術者について増加が見られ(OR=7.5, CI=2.6-21.8)、雇用期間の増加とともに発生率に正の傾向が明らかとなった(傾向に対する確率P=0.0003)。職業曝露マトリックス(JEM)によって評価した電磁界曝露についても同じく、電気技術者と発生率との関連に増加が見られた。曝露の強度レベルが最も高い男性や電磁界曝露の確率が最も高い男性の発生率は3倍となることが観察されたが、強い電磁界曝露を受けた女性については発生率の増加はなかった。男性について、発生率の増加は金属労働者(OR=2.1, CI= 1.0-4.8)、工具製作工(OR=3.2, CI=1.4-7.1)、配管工ならびに溶接工(OR=3.0, CI=1.2-7.5)、ガラス製作工と陶磁器製作工と塗装工と建設労働者(OR=2.6, CI=1.1-6.3)についても同じく発生率の増加が見られた。女性については、繊維労働者に発生率の増加があった(OR=1.4, CI=0.8-2.6)。

ばく露