この研究は、29人の被験者について、10.5 Tの静磁界強度を有する磁気共鳴画像撮影(MRI)装置へのばく露前、ばく露中およびばく露後の認知機能、前庭機能、生理学的機能を定量的に評価した。そのうち26人については、最初の実験から2-4週間以内に検査およびばく露を繰り返した。その結果、79回の比較のうち、73個のパラメータについては変化はないか、磁界ばく露後に僅かな改善が認められた。例外として、短期の(同じ日の)実行機能検査のより低いスコア、初回検査時の(ばく露前に対して)アイソセンター[訳注:MRIにおいて3軸の傾斜磁界が交差する位置]での自発的眼球運動のより高いスコア、初回に対して2回目検査時のビデオ眼振の異常な数の増加、ならびに血圧の若干の上昇(2回目検査時)と低下(初回検査時)があった。また、7 Tおよび9.4 Tでの先行研究のデータと比較して、10.5 Tではより多くの被験者が金属的な味覚を報告した。これらの結果から、10.5 Tの静磁界ばく露により、アイソセンターでの認知遂行能力は低下せず、被験者はアイソセンターでの眼球運動の増加を経験し、バイタルサインの僅かな変化を経験するが、磁界による血圧の上昇はなく、これらは被験者の安全性を損なうものとは見なされない、と著者らは結論付けている。
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