この論文の著者らは、パルス化ミリ波および無線周波(RF)放射に対する皮膚の熱応答について、電気電子学会(IEEE)のC95.1-2019規格および国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)の2020年のガイドライン、ならびに米国連邦通信委員会(FCC)が最近再確認したガイドラインにおけるパルスフルエンスについての制限値をレビューしている。ミリ波周波数(30-300 GHz)ではエネルギーが身体表面近傍に吸収され、強いパルスは皮膚に高い温度勾配を生じる可能性がある。この研究では単純な皮膚の一次元のベースライン熱的モデル、およびPenneの生体熱方程式(BHTE)、ならびに標準的なモデルに基づく皮膚への熱的ダメージについてのベースラインモデルを採用した。その結果、94 GHzの3秒間のパルスによって生じる温度上昇の予測値は、先行研究での実験結果と一致した。94 GHzのパルス化エネルギーによる皮膚の熱的ダメージについての数少ない報告済みのデータは、熱的閾値の通常の分析を実施するには不十分で、ドシメトリにおける誤差による影響を受ける可能性がある。ベースラインモデルから、現行のFCCガイドラインにおけるパルスフルエンスについての暗黙的な制限値は、極端な(但し実際には非現実的な)場合において、熱痛の閾値に近い皮膚温度の過渡的な上昇を許容し得ることが示唆されたが、それは熱的ダメージを生じると予想されるレベルよりも十分に低いままであった。現行のIEEE規格およびICNIRPガイドラインにおけるパルスフルエンスについての制限値は、そのような影響を排除する。そのような極端なパルスはワイヤレス技術等から発せられるものを大幅に上回るが、一部の非殺傷兵器からは生じ得る。FCCが提唱している「デバイスベースの時間平均化」ルールは、ミリ波送信装置から生じる皮膚の過渡的温度上昇を、より低い周波数成分によって生じる、より緩慢な温度上昇よりも概ね一桁低いレベルに制限するもので、過剰に保守的であると考えられる、と著者らは述べている。また、この論文の補遺で著者らは、ミリ波ばく露による皮膚での温度上昇の推定に利用できる、生体熱方程式の解析的解法に対する2つの近似の適用可能性について検討している。
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