この研究は、通常のヒトの聴覚外の音波または電磁波へのばく露による、動物及びヒトの聴覚前庭への悪影響の研究についての既存の文献を調べ、知識のギャップを同定することを目的として実施した。PubMed、EmbaseおよびScopusを用いて関連論文を検索し、抽出した論文の参考文献もレビューした。その結果、文献では超低周波音および超音波は聴覚前庭症状を生じるとされていた。風力タービンやロケットエンジン等の超低周波音を発する技術については、めまい、吐き気、聴覚障害(ばく露後の耳鳴り等)を含む、前庭症状についての孤立した報告が認められた。超音波への職業的ばく露については、広範な聴覚前庭症状が報告された。リモートコントロール、自動ドア開閉装置、携帯電話充電器等の新技術からの日常的なばく露後の症状については、証拠はさほど強固ではなかった。無線周波電磁界ばく露は動物モデルでの聴覚及び前庭の機能障害と結び付けられ、定量化できないばく露後のヒトの聴覚前庭障害については更なる歴史的証拠が認められた。症状の原因としてはキャビテーション理論等の幾つかの理論が提唱されているものの、特定の周波数、強度および持続時間でのばく露による、動物及びヒトへの悪影響の背後にある病態生理学的知識は極めて限定的で、その大半はばく露後に症状を呈する患者の後ろ向き検査から導出されたものであり、欠落があることが示された、と著者らは結論付けている。
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