この研究は、異なる強度(低:13.5、中:18.5、高:23.5 kV/cm)および異なるパルス数(0(擬似ばく露)、1、5、10、100、1000回)、パルス反復率1 Hzの600ナノ秒のパルス化電界ばく露による、大腸菌および乳酸桿菌の不活性化を調べた。また、温度上昇(温度勾配)を測定し、加熱による不活性化を電界によるものと区別した。24時間の培養期間後にコロニー数をカウントして細胞の不活性化を定量化した。加えて、それぞれの条件でばく露した菌株を各種の抗生物質を浸したディスクで培養し、ナノ秒パルス化電界ばく露が抗生物質感受性を変化させるかどうかを調べた。その結果、どちらの菌株についても、供給されたエネルギー総量(振幅、パルス数、パルス継続時間)が細胞の不活性化の度合いを決定することが示された。特に、18.5および23.5 kV/cmばく露では、大腸菌よりも乳酸桿菌の方が、ナノ秒パルス化電界の不活性化作用に対して感受性がより高かった。但し、13.5 kV/cmばく露では、大腸菌の方が感受性がより高かった。このことから、乳酸桿菌に有意な不活性化を生じさせるには電界閾値を満たす必要があることが示唆された。また、成長が阻害される領域の増大が観察されたことから、複数のナノ秒パルス化電界ばく露によって抗生物質感受性が強められることも示された。更に、どちらの菌株でも、≤ 20 °Cの温度上昇(ばく露の89%に相当)は細胞の不活性化を有意に変化させるには不十分で、また抗生物質感受性のカテゴリーを変化させるにも不十分であった、と著者らは報告している。
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