疫学研究では、環境中の超低周波(ELF)磁界ばく露と健康影響との関連が示されているが、その生物学的メカニズムは依然として不明である。この論文の著者らは、ELF磁界は周辺環境(例えば培地)への影響を通じて、組織または細胞の機能を調節しているかも知れないとの仮説を検証するため、ゼブラフィッシュの胚の培地の比誘電率に対する50 Hz磁界の影響、ならびに、ゼブラフィッシュの胚発生に対する磁界ばく露した培地の影響を調べた。50 Hz磁界ばく露に対する培地の反応を、位相感受性表面プラズモン共鳴装置で評価した。その結果、磁界処理はばく露量依存的および時間依存的にゼブラフィッシュの胚の培地の比誘電率を低下させた。磁界ばく露による誘電率の低下は徐々に回復し、ばく露を除去した場合にはベースレベルに達した。但し、磁界ばく露した培地を単細胞期のゼブラフィッシュの胚に適用したところ、有害な結果(死亡率、形態異常、孵化率および心拍等)は生じなかった。更に、磁界ばく露した培地は受精後48時間および72時間のゼブラフィッシュの胚にアポトーシスを生じなかった、と著者らは報告している。
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