超低周波(ELF)磁界の生物学的影響を調べた複数の研究で、神経活動の機能的変化が報告されている。特に、ELF磁界はイン・ビトロおよび動物モデルの両方でシナプス可塑性に影響力を及ぼし得るが、長期増強(LTP)の増加を報告する研究もあれば、その低下を示唆するものもある。但し、ヒトでのそのような影響を調べた研究はない。この研究は、ELF磁界がLTP様の可塑性を受けるヒトの皮質の性向に影響を及ぼすかどうかを調べた。10人の健康な被験者を対象とする、無作為化・単盲検・擬似ばく露対照・クロスオーバー研究をデザインした。45分間のELF磁界(75 Hz、1.8 mT)ばく露または擬似ばく露の前後に、間欠的シータバースト刺激(iTBS)を用いて皮質可塑性を誘導し、各iTBSの前後での運動誘発電位(MEP)の振幅の変化を測定することでそれを推定した。その結果、有害な事象は報告されず、皮質可塑性に対するELF磁界の有意な影響は認められなかった。ELF磁界への脳全体のばく露は安全であり、ヒトの皮質におけるLTP様の可塑性に有意な影響を及ぼすことなさそうである、と著者らは結論付けている。
このウェブサイトはクッキー(Cookies)を使って、最善のブラウジングエクスペリエンスを提供しています。あなたがこのウェブサイトを継続して使用することで、私たちがクッキーを使用することを許可することになります。