電磁界を原因と考える本態性環境不耐症(IEI-EMF)を呈する人々は、電磁界ばく露の際に体調不良を経験すると主張する一方、多くの実験研究では、身体的関連についての説得力のある証拠は認められていない。この体系的レビューは、偽陽性または偽陰性の結果が生じていたかも知れない、IEI-EMFの人々における症状の発生についての実験研究における方法論的制限の評価を目的とした。更に、これらの結果が陽性の研究と陰性の研究で、これらの制限の特徴を比較した。「体系的レビュー及びメタ分析のための優先的報告項目(PRISMA)」ガイドラインに従い、方法論的実施及び報告を評価した。IEI-EMFの人々を異なるレベルの電磁界にばく露し、各々のばく露試行の最中またはその後の症状の発生について質問した、盲検化された実験研究を評価対象の候補に含めた。個々の研究のデザイン、実施及び分析における強み及び制限を、専用のツールを用いて評価した。その結果、適格基準を満たした28報の研究をレビューに含めた。多くの研究で、結果が陽性でも陰性でも、偽の影響を生じたか、または実際の影響を覆い隠したかも知れない方法論的制限が同定された。共通する制限の大半は、被験者の選択、ばく露の順序のバランス、盲検化の有効性に関連していた。更に、多くの研究では統計的検出力の推定値が不足していた。方法論的に確固たる研究では、ばく露の影響はありそうにないことが示された。全体として、証拠はばく露の影響がないという方向を示した。これまでの知見は、仮に身体的な影響が存在するとしても非常に弱いか、影響は少数のIEI-EMFの人々に限られることを示唆している。IEI-EMFの多くの人々における症状はノセボ効果または医学/精神障害によって説明できるという証拠から、IEI-EMFの発症と症状の惹起に重要かもしれない各種の要因を同定するため、更なる研究が必要である、と著者らは結論付けている。著者らは、サブグループを同定すること、及び、他の本態性環境不耐症との文脈でのIEI-EMFの探究を勧告している。更なる実験研究を実施する場合には、個人のレベルで実施することが望ましく、特に、過敏な人々(仮に存在するとして)を検出する可能性を高めるため、バイアス及び不正確さのリスクの原因を最小限にすることで、結果の高い信頼性を達成することを、研究者らに推奨している。
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